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音楽のおもちゃ箱 [ギター曲]

今年の1月に現代ギター社から発売さ楽譜れた佐藤弘和「音楽のおもちゃ箱」を2月半ばに購入しました。現代ギターに連載された楽譜をまとめた曲集です。初心者のためのとありますが、技術的に難しい曲も含まれ、また音楽的に工夫されているのでコンサートピースとして十分に通用すると思います。
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この曲集の全40曲をyoutubeにアップロードしてプレイリストにまとめました。4曲づつとの組曲になっているので組曲としては10個になり、組曲単位で一つの動画にしてあります。9番目は2重奏で10番目は3重奏となっており、多重録音で合成しているため縦の精度は良くありませんが、曲の雰囲気は感じて頂けると思います。




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アルベニス セビリア考 [ギター曲]

読まれて不愉快に感じるであろう人もいるかと思いますが、自分が正しいとか、賛同して欲しいというつもりは無く、あくまで私はこう思うというつぶやきです。
ギタリストのレパートリーとして定番とも言えるアストリアスやセビリアなどプロ、アマチュア問わず聴く機会がとても多いです。私自身は取り組む曲の優先度として編曲物は避けるという考えなのでアルベニスは積極的に弾きたいとは思っておりません。ですがギター愛好家としてはセビリアはとても魅力的な曲だと思いますし、上手なアマチュアがこぞって演奏するのも分かります。
多分、昨年位から4人位はアマチュア仲間のセビリアを聴いていると思います。皆さん上手な方なので素晴らしいと思いながらも、何となく冒頭数小節特に3小節目が物足りないと感じる演奏が多いのです。それで昨夜リョベート編のギター譜とピアノスコアを見比べ、youtubeでセゴビア、ジョン、ブリームやラローチャなどのピアノ演奏を聴いて見ましたが、ピアノ演奏でさえアルベニスが書いている強弱を反映している演奏がありません。ピアノ譜を見て良かったのは編曲物としては珍しく原調が維持されていることです。
ここまで書いてから、ふと参照しているimslpのピアノ譜は信頼出来るのかという疑問が生じました。
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そこでヘンレ社の原典版を見てみたら唖然です。
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imslpにあったのはJuan Salvatによる改定版とのことで、編者の解釈が多分に盛り込まれています。アルベニスの原典ではダイナミクスの情報が少なく演奏者の解釈に依存する部分が多いのです。Salvat版もアルベニスの指示を無視している訳ではなく補完しているとも言えますが、無批判に従うべきではありません。
気を持ち直して続きを書きます。
さて私の中で勝手に形成されていたセビリアのイメージですが、多分、昔に聞いたセゴビアやジョン、ブリームなどの記憶が脳内で変化したものだと思います。今、改めてこれらの演奏を聴くと思っていたものとはかなり違います。ブリームなんて5小節目の2拍目にかかるタイを無視して弾き直しているのでとても奇異に感じます。ブリームはさておきアルベニスの難しさはオリジナルのピアノ版をなぞるだけでなく、そこにギター的な要素を加えることの加減です。ピアノでは単なる和音がラスギャードにすることでスペイン的な雰囲気が出たりすることがギターでアルベニスを弾くことの醍醐味であるのは確かです。もう一つ音楽解釈、表現の上でロマン派の音楽で民族性が反映されているアルベニスの場合は楽譜を読むだけでは良い演奏には繋がらず、その曲の背景、土着な音楽の特徴という楽譜だければ読み取れないリズムや歌いまわし、ルバートやアゴーギクなどを知る必要があります。そういう意味ではラローチャのようなスペシャリストの演奏を聴いたり、スペイン音楽の特徴というような知識や教えを受けることも必要になってきます。
しかしながらクラシック音楽の演奏者としては楽譜に書かれた情報というものは最重視すべきであり、先入観を捨ててまず楽譜と向き合うということも必要です。
ゼビリアのヘンレ版の冒頭を見てみます。普通に音符だけを見て最初の2小節は導入であり、3小節目から主題が提示されていると分かります。主旋律は3小節目の最高音のgの音から始まりますので、このトップノートは最初に提示される主題の開始として明確に演奏されるべきです。ところがラローチャの演奏を聴くと最初の2小節が元気よく華やかでむしろ3小節目からの方が控えめに聴こえます。解釈としては最初の2小節はリズムを出し、3小節目からは旋律として歌うということ、和声的にも2小節目の最後がドミナント7で3小節目はトニックだからとも言えます。ラローチャの演奏が良くないとか、物足りないとか言うつもりはなく、ピアノ演奏として素晴らしいと思います。問題は3小節目の3拍目にアルベニスが書いたppの指定です。これをどう解釈するかは色々あると思います。何も書かれていないので冒頭からはmfとして3小節目で主和音のG-durを高らかに提示してsubito ppとする、Salvat版のようにディミネンドしてppにする、そもそも最初から強く弾かずに緩やかにppに至るなど様々です。ですがppの指定は無視すべきではありません。
最初に戻りますが導入としての2小節間と主役登場の3小節目からを色彩的に弾き分けることが出来るのがギターならではの利点です。この三小節目のGの和音をpimaの指で弾くのか、pで撫で下ろすのか、ラスギャードにするのかで印象が異なります。これは私の好みでしかありませんが1弦15フレットのgの音を如何に華やかに響かせるかをギターで演奏するなら重視します。なので私なら指で弾き最高音を重みを乗せたaで最も響く方法をとるか、ラスギャードで和音全体を華やかに鳴らす方法を取ります。pで弾くと最高音が不発に終わることが多いというのが色々な方の生演奏を聴いての感想であり、不満に感じるところです。なお別解釈として3小節目を強調せずに優雅に演奏したいなら2小節目3拍目をキッパリと演奏して、3小節目に入る時に間を取るとことさら3小節目を強調しなくても印象的な効果が得られるかもしれません。ではその後はどうするのか、ジョンのようにラスギャードを多用してしまうとアルベニスが書いたppの指定を無視することになります。
ヘンレ版を見るとアルベニス自身は3小節目に書かれたppの後で殆ど強弱を指定していないので解釈の幅は大きく演奏者の音楽性が大きく問われる曲です。逆にだからこそ13小節2拍目からfで14小節目2拍目からpでエコーにするというアルベニスの指定はとても重要です。
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残念ながらリョベートの編曲ではこの強弱の指定や3小節目3拍目からのppなどは無視されています。またリョベート版の音の選択もベストとは思えず、編曲物を演奏するなら編曲された楽譜だけでなく、原曲のしかも信頼できる版の楽譜を参照し原曲と作曲者の意図を大きく逸脱しない範囲でギターならではの効果と表現を工夫するという難しい作業が必要になりますね。やはり私個人としてはギターを弾かないクラシック愛好家にギター音楽としてアピールできるギターオリジナル作品を重視したいです。




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ジャン・フランセのギター曲 [ギター曲]

バイブルという名前を付けるのはどうかと思いながら内容は悪くなさそうだったので「ギター音楽リスナーズ・バイブル」という本を買ってみました。
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著者の朝川博さんはレコード芸術や音楽の友の編集をされていた方でクラシック音楽全般に造詣が深く、アマチュアギタリストでもあるため、ギター音楽史を網羅的に分かり易く解説されています。私が知らない曲も出てきて参考になります。
特にギタリストのレパートリーとしてはあまり取り上げられないけれど、近現代のギタリストではない作曲家によるギターオリジナル作品があることを知ることが出来ました。ルーセル、イベール、ミヨー、フランセなどです。
中でもジャン・フランセはギターソロ曲だけでなく、リコーダーとのソナタそしてギター協奏曲も書いていること知りました。フランセは一般的にはあまり知られていないかもしれませんが、ホルン吹きでもある私にとっては木管五重奏曲やホルンとピアノのためのディベルティメントなどの室内楽作品で馴染みがあります。
ギターソロの曲としてはプレリュード、セレナータ、パッサカリアの3曲を残しています。この中でパッサカリアの音源を探して聴いてみたのですが、演奏時間が10分を超える作品でフランセらしいエスプリに富み、ギター曲としてはユニークで面白いと思いました。そこでこのフランセのギターソロ3曲の譜面を海外サイトで購入してみました。届くまで日数がかかると思いますが楽しみにしています。


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編曲と調性 [ギター曲]

しばらく更新が止まっていました。

他の楽器のために作曲された曲を編曲してギターで演奏することは良くあります。アルベニスやグラナドスなどのスペインの作曲家によるピアノ曲はギターで演奏される機会の方が多いですし、ギター奏者は当たり前にギター曲だと思っている人も多いでしょう。またオリジナルの演奏を聴いたことが無いという人も多いのではないでしょうか。他にもタレガがクラシックの名曲を沢山編曲していたります。こういう編曲では当然のようにギターで演奏しやすい調性に移調しています。バッハの無伴奏チェロ組曲も移調されることが多いです。逆に移調せずに演奏出来るものはバッハの無伴奏バイオリン曲だったりします。

基本的にギターはフラット系の調性が苦手です。その理由は簡単なことでフラット一つのヘ長調はシにフラットが付きますがシは2弦の解放弦です。変ロ長調は1弦、2弦、6弦にフラットが付き、変ホ長調は1弦と2弦と5弦と6弦の解放にフラットが付きます。ということでとことんフラット系はギターには不向きです。ですから基本的に原曲がフラット系の調性の場合はシャープ系に移調してしまいます。カポタストを使うという方法もありますがカポタストは独特な音色がありますのでギター本来の音色とは異なってきます。

私は絶対音感はありませが、作曲家が選んだ調性というものは尊重すべきと思っています。バロックや古典の時代はピッチが低かったということから調性の性格って何という人もいますが、その時代から調性の性格というものは意識されてきました。ピアノでは平均律ではない調律方法により調性毎に主要三和音の響きが違うという話もありますし、弦楽器ならポジション毎の共鳴や音色の差があり、管楽器なら運指からくる音色の差もあります。

上に書きましたがギターで当たり前に演奏するシャコンヌはオクターブ低くなるものの移調せずに演奏出来ます。私は以前にプロのホルンアンサンブルがホルンの合奏でシャコンヌを演奏するのを聴いたことがありますが、その時はニ短調のシャコンヌをト短調で演奏していて、演奏の上手い下手と関係なく調性の違和感からまともに聴くことが出来ませんでした。アルベニスやグラナドスの曲も多くはフラット系で、原調を無視してギター曲として演奏することに抵抗を感じます。編曲はレパートリー拡大に必要なことだとしても、自分で演奏できる曲に限りがあるならギターの為に書かれたオリジナルを優先したいと考える所以です。



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プーランク サラバンド [ギター曲]

年度末で仕事が忙しいのと、ホルンやギターの活動もイベント続きで更新が滞っています。
先日、クラスタでプーランクにサラバンドというギターオリジナル作品があることを知りました。
イダ・プレスティのために1960年に書かれた曲とのことですが、プレスティはこの曲を演奏することは無かったようです。プーランクは1963年に亡くなっており、プーランクの戦後の曲に関しては日本における著作権保護期間を経過しており、この曲は日本では著作権フリーな曲になります。なおプーランクの戦前の作品については著作権の戦時加算に該当するためまだ保護期間の作品もあります。

サラバンドはリコルディから出版されており、IMSLPでも公開されています。譜面を見るとかなり凝った運指がつけられていますが、プーランク自身はギターを知らないでしょうし、献呈されたプレスティも演奏していないことから、出版時に誰かが付けた運指と思われます。とてもシンプルな譜面ですので、演奏したものをyoutubeに置いてみました。有名作曲家によるギターオリジナル曲といて貴重な作品だと思います。




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ジャン=マリー・レーモン 絆 [ギター曲]

ジャン=マリー・レーモン(Jean Marie Raymond)は1949年モロッコ生まれのギタリスト、作曲家です。稲垣稔さんの留学時代からの親友で80年代には二重奏の録音を行っています。稲垣さんのCDにも何曲かレーモンの曲が入っています。私がレーモンに興味を持ったのは2014年11月の発表会で先生がレーモンの「明石の空の下で」を演奏され、また別の生徒さんがレーモンの曲を演奏するのを聴いてからです。「明石の空の下で」は病床の稲垣さんの為に作られた曲です。その発表会の後で「明石の空の下で」を弾いてみなたくなり、GGショップにてレーモンさんのアンソロジーという分厚い曲集の譜面とKIZUNAというCDを買いました。
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このCDがレーモン&稲垣の2重奏の復刻に二人のソロを追加したものという内容で、稲垣さんは「絆」と「水面に映る影に寄せて」を新らたに録音されており、これが多分稲垣さんの最後の録音ではないかと思います。そしてこの稲垣さんの演奏する「絆」を聴いて心が震えました。この曲は東日本大震災犠牲者への鎮魂を込めて作られており、譜面には友人である稲垣稔と日本の人々に捧げると書かれています。「絆」という曲名は稲垣さんが付けられたそうで、原題もKIZUNAです。そして私はこの「絆」を2015年夏のアマチュアギターコンクールの自由曲に選びました。絆は私にとって大切なレパートリーになっています。昨年の9月に楽章別にyoutubeにアップしていますが、3月11日を迎えるにあたり、通しで演奏したものを新たにアップロードしました。



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ベニカシムの想い出2 [ギター曲]

ご紹介したクレンジャンスのベニカシムの想い出の音源がないので、未熟な演奏ですが自分の演奏をyoutubeにアップロードしてみました。
良い曲なので弾く人が増えて欲しいです。





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ベニカシムの想い出 [ギター曲]

フランシス・クレンジャンス(Francis Kleynjans)は1951年パリ生まれのギタリスト、作曲家で数多くの曲を書いています。クレンジャンスは「最後の日の夜明けに(L’Aube Du Dernier Jour)」Op.33で1980年のバリ国際ギターコンクールの作曲部門で1位を受賞しています。この曲は死刑囚が処刑されるまでを描写した緊張感溢れる意欲作ですが、クレンジャンスの曲の多くは心地よい癒し系の曲調のものが多いと思います。

クレンジャンスはミラノ風ワルツ(La Milanaise)Op.143という曲を稲垣稔さんに献呈しています。稲垣さんはこの曲をCD「SONGS」に収録しており、日本では親しまれている曲だと思います。このLa MilanaiseはHenry Lemoineから3曲セットで出版されており、他の曲はOmbre Op.94-2とSouvenir de Benicasim Op.142です。La Milanaiseはもちろん良い曲なのですが、OmbreとSouvenir de Benicasimも素晴らしい作品です。Ombreは暗いから明るいのグラデーションの意味で強弱の変化による陰影が印象的です。Souvenir de Benicasimは「ベニカシムの想い出」というトレモロの大変美しい曲です。私はSouvenir de Benicasimを発表会で先生が演奏するのを聴いて感動して、楽譜を買い求めました。
La Milanaiseは稲垣さんのCDで聴くことができますし、Ombreはクレンジャンス自身の演奏するCDに含まれています。ですがSouvenir de Benicasimの音源は見当たらず、youtubeでも演奏している人はいないようです。とても美しいトレモロ曲なのでもっと演奏されて良いと思いますし、是非プロ奏者にCDに入れて欲しい曲です。私もSouvenir de Benicasimを練習して何度か人前でも演奏してみたのですが、左手の押えが難しい箇所があり、まだ満足できる演奏は出来ていません。

なおSouvenir de Benicasimの楽譜にはベニカシムで開催されるタレガ国際ギターコンクールを主催する「Domingo Tarregaへ」と書かれており、アルハンブラの想い出のオマージュとして書かれたものだと思われます。



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