編曲と調性 [ギター曲]
しばらく更新が止まっていました。
他の楽器のために作曲された曲を編曲してギターで演奏することは良くあります。アルベニスやグラナドスなどのスペインの作曲家によるピアノ曲はギターで演奏される機会の方が多いですし、ギター奏者は当たり前にギター曲だと思っている人も多いでしょう。またオリジナルの演奏を聴いたことが無いという人も多いのではないでしょうか。他にもタレガがクラシックの名曲を沢山編曲していたります。こういう編曲では当然のようにギターで演奏しやすい調性に移調しています。バッハの無伴奏チェロ組曲も移調されることが多いです。逆に移調せずに演奏出来るものはバッハの無伴奏バイオリン曲だったりします。
基本的にギターはフラット系の調性が苦手です。その理由は簡単なことでフラット一つのヘ長調はシにフラットが付きますがシは2弦の解放弦です。変ロ長調は1弦、2弦、6弦にフラットが付き、変ホ長調は1弦と2弦と5弦と6弦の解放にフラットが付きます。ということでとことんフラット系はギターには不向きです。ですから基本的に原曲がフラット系の調性の場合はシャープ系に移調してしまいます。カポタストを使うという方法もありますがカポタストは独特な音色がありますのでギター本来の音色とは異なってきます。
私は絶対音感はありませが、作曲家が選んだ調性というものは尊重すべきと思っています。バロックや古典の時代はピッチが低かったということから調性の性格って何という人もいますが、その時代から調性の性格というものは意識されてきました。ピアノでは平均律ではない調律方法により調性毎に主要三和音の響きが違うという話もありますし、弦楽器ならポジション毎の共鳴や音色の差があり、管楽器なら運指からくる音色の差もあります。
上に書きましたがギターで当たり前に演奏するシャコンヌはオクターブ低くなるものの移調せずに演奏出来ます。私は以前にプロのホルンアンサンブルがホルンの合奏でシャコンヌを演奏するのを聴いたことがありますが、その時はニ短調のシャコンヌをト短調で演奏していて、演奏の上手い下手と関係なく調性の違和感からまともに聴くことが出来ませんでした。アルベニスやグラナドスの曲も多くはフラット系で、原調を無視してギター曲として演奏することに抵抗を感じます。編曲はレパートリー拡大に必要なことだとしても、自分で演奏できる曲に限りがあるならギターの為に書かれたオリジナルを優先したいと考える所以です。
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