SSブログ

脱力 [演奏法]





脱力はギターに限らずあらゆる楽器にとっての共通かつ永続的な課題です。脱力というのは余分な力を除くということですが、楽器を演奏する上での体の使い方全てを効率的に整えることであり、直接楽器を操作している手指だけの問題ではありません。またある一定レベルの演奏技術が身に付いたとしても、人の体は年月とともに変化していきますので、変化を受け入れてそれに合わせた奏法の改善を追及し続けることが長く演奏を続ける上で大切です。

演奏ということを離れて、脱力ということを考えてみます。例えばペンで字を書くという行為を取り上げてみます。子供がペンを持って何か書く時に、ペンを握りしめてしまったり、ペン先を紙に強く押し付けてしまったりします。字を書くというのは日常的な行為ですから、誰もが少しずつ力加減というものを覚えて行きますし、大人になれば自分がどのように力を使っているのかなど意識すらしていないはずです。試しに意識して最少の力で字を書くということをやってみると、意外に改善点が見つからないでしょうか。

また人は日常の中で無意識に体の何処かに力が入っていることもあります。さらに緊張すると肩に力が入るというのも良くあることです。楽器を演奏することは少なからず緊張を伴いますので、演奏する以前に楽器を構えた時点で肩や首、背中や足腰などに力みがないかを意識して、力みを除くということが大切です。肩や首などに力が入っていると腕や手指の運動の妨げになります。脱力をする上で意識するということがとても重要で、意識することで本番の緊張の中でも力まないことに繋げられます。

では脱力が十分ではなく、力みがあると演奏にそういう影響があるかですが、左手に関しては力むことで動きが悪くなり、押えのミスが出やすくなりますし、例えミスが無かったとしても音楽の流れが悪くなり滑らかに音が繋がらない、音質にムラが生じるなどの要因となります。右手に関してはタイミングの狂いや大振り、空振りの原因ともなりますし、力みが音を潰してしまいます。どんな楽器でも力みは演奏に現われますので音を聴いているだけでも力んだ演奏ということが分かります。

なおこれも全ての楽器共通なこととして、楽器を鳴らす、大きな音を出したいという時につい不必要な力を入れてしまい本人は大きな音を得るためにエネルギーを消費しているつもりでも、無駄な力が音を潰し、汚くし聴いている人には届かず逆効果ということが良くあります。

ですが演奏表現は効率的な音だけでは成り立ちません。時には無駄であっても力強さや、インパクトを出す為に楽器の限界を超える入力を与えることも表現の一つの手段となります。ですがそれは無意識な力みではなく、意識した力である必要があります。
脱力とは力を入れないことではなく、意識して力を制御することだと思います。


スポンサードリンク





nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。